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歯と歯並びの役割

歯と歯並びの役割を考えてみましょう

生きていくには「咬むこと」が大切です

食べものを咬んで飲み込む働き

人には普通、親しらずを含めずに、上下28本の歯(永久歯)があるとされています。あなたは、その歯が人間にとってどんなに大切なものか、考えてみたことがありますか?

歯は何のためにあるかというと、第一は「食べるため」です。動物でも人間でも、生きていくためには食べなければなりません。食べものをかみ切るのは前歯の役割、咬んですりつぶすのは奥歯の役割。咬んだ食べものを飲み込むときには、上下の歯がしっかりと咬み合って、それを行っています。

実は「食べものを咬んで飲み込む」のは、とても複雑なシステムです。1本1本の歯の力だけではなく、歯が並んでいてはじめてできる動作であり、あご、関節、舌、口の筋肉などが脳からの指令のもとに連携して、スムーズに行っているものなのです。

野生の動物たちは、歯が抜け落ちると食べものが得られず、衰弱し、餓死してしまいます。それはサバンナの王者のライオンにも避けられない運命です。歯の役割がまず食べものを咬むことであり、それは生命の維持と根本的にかかわっていることを知ってください。

発音を助ける働き

次に重要な働きは、「発音を助けること」です。発音は肺から出された空気が、声帯によって振動します。そして、あごや舌、くちびる、口蓋、歯の協力によって、いろいろな音声が出ます。歯がない人、歯並びが悪い人の発音は、息がもれて不明瞭になり、言葉によるコミュニケーションに影響を及ぼします。このことは、歯のないお年寄りの話し方などからも、容易に想像がつくことでしょう。

口元の表情を作る美的な働き

歯には、機能的な働きばかりでなく、「美」を構成する大事な役割もあります。

例えば「明眸皓歯」という言葉があります。目が大きくてきらきらと輝き、歯が白く、歯並びが整っている人を「美人」とした日本の代表的な褒め言葉で、アーチ形にきれいに並んだ歯が、印象を左右する大事なポイントであることを物語っています。

デコボコした歯並びや、抜けた歯、汚れた歯は、他人に不快感を与えます。また、咬み合わせがずれたり、奥歯がなかったりすると、顎関節の位置のずれや、顔の曲がりの原因にもなります。

あごの発育への影響

これらに加えて、子どもの歯には、咬むことで上あごや下あごの健全な発育を助ける役目があります。私たち矯正歯科医は、このことも、お父さん・お母さんにはぜひ知っておいていただきたいと思います。